忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

喧嘩両成敗の乱用

元来,喧嘩両成敗というのは,紛争当事者の衡平感覚に配慮しつつ緊急に秩序回復を図るために中世社会が生み出した究極の紛争解決作であった。しかし,そこには単純明快であるがゆえに,しばしば安易な運用で理非が蔑ろにされる危険がつねにつきまとった。かねて中世の人々がその採用に躊躇を示していたのも,まさにそうした点を危惧していたからに他ならない。豊臣政権は,一方では公正な裁判を標榜しつつも,他方では喧嘩両成敗を採用するという戦国大名以来のジレンマからは完全に抜けきれてはいなかった。しかも,その両成敗には,つねに逸脱や恣意的な乱用といった影がつきまとっている。これらのことがらは,喧嘩両成敗を永続的な秩序維持策として運用してゆくことのむずかしさを物語っているといえるだろう。

清水克行 (2006). 喧嘩両成敗の誕生 講談社 pp.190-191
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]