つまり,わざわざ成果だ,業績だ,と騒がなくても,実は,昇進に関しては,差なんかとっくについていたのである。
私が研究者として駆け出しだった頃実施した一番古いデータ(大企業7社366人)ですらも,1986年当時,20歳代前半では年功序列と答えたのが約6割だったのに対し,40歳代前半では約4分の3が能力主義であると回答していた。当時から,確かに40歳代になると部長も課長もいるのだが,その一方で,まだ係長やヒラの人もいた。しかも,これは大卒ばかりのホワイトカラーの職場での話なのである。つまり,年功序列的と言われる多くの日本の会社でさえ,40歳代ともなると明らかに昇進・昇格・昇給で差がついていたのである。そんなに差のつく人事システムなのに,入社早々の時期には,自分の会社は年功序列だと思っているのだ。
高橋伸夫 (2004). 虚妄の成果主義 日本型年功制復活のススメ 日経BP社 pp.24-25
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