経済的苦境に陥ると,現場から遠い経営者ほど,ついつい容易に「切る論理」を探し始める。成果主義も年俸制も底を流れるものは「切る論理」であろう。しかし,それでは一時的な業績回復はありえても,企業の永続的な発展は望めない。アイデアのない経営者ほど,マスコミ受けを狙って,安易な人件費削減をニュースにしがちである。確かに,短期的には市場も反応するだろう。しかし,そんなものはしょせんその場しのぎに過ぎないし,いつまでも削減し続けられるわけもない。市場が求めているのは,長期にわたって安定的に利益を出せるきちんとした事業構築なのである,むろん,それには時間がかかる。だから,今すぐにでも打ち出さなくてはならないのは,新しい事業戦略のアイデアの方なのだ。そのためには何が必要なのか。企業を成功に導いてきた偉大な経営者たちがしてきたことを振り返ってみるべきだろう。
高橋伸夫 (2004). 虚妄の成果主義 日本型年功制復活のススメ 日経BP社 pp.42-43
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