データ再利用の重要性を見抜けなかった企業は,苦境に追い込まれて初めてことの重大性に気付かされる。例えば,初期のアマゾンは,AOLの電子商取引サイトに使われている技術を有償で使っていた。普通に考えれば,よくあるアウトソーシング契約そのものである。ところが,アマゾンの元チーフサイエンティスト,アンドレス・ウェイゲンによれば,狙いは別のところにあった。アマゾンが真に興味を持っていたのは,AOLユーザーによる商品の検索・購入データを手に入れることだったのだ。このデータがあれば,「おすすめ商品」機能の効果を改善できる。鈍感なAOLはそこに気付けなかった。まさに主目的である販売としてのデータの価値しか見ていなかった。抜け目のないアマゾンは,このデータの2次利用で利益を手にできるとわかっていたのだ。
∨・M=ショーンベルガー&K.クキエ 斎藤栄一郎(訳) (2013). ビッグデータの正体:情報の産業革命が世界のすべてを変える 講談社 pp.161-162
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