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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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攻守渾然一体

よく,「リスク管理(リスクマネジメント)は大事だが,リスクを取ること(リスクテイク)も大事だ」という発言を聞きます。まさしくそうです。ただし,そうおっしゃる方のかなりが,リスク管理とリスクテイクを,野球の守備と攻撃のように切り離して考えています。「上位打線が続く相手の攻撃をゼロに抑えた。よくやった。さあ,今度はわれわれが点をとりにいくぞ。先頭バッターは塁に出ることだけを考えろ」といった感じです。
 リスクの中にも,国家間の紛争のように,個人では如何ともしがたいものがありますが,日常のリスクの多くは,これまで何らかの形で関わってきたものや,それを作り出してきたものです。
 先に登場したEさんの場合も,何時の電車にのるかということは,リスクの管理でもありリスクのテイクでもあります。そもそも,都心にある今の会社に勤めたこと,郊外の鉄道沿線で家を買ったことは,Eさんの判断と意思決定によるものです(家については奥様の判断と意思決定によるかもしれません)。われわれの行為の1つひとつがリスクのテイクであり,その後のリスク管理に繋がり,それが新たなリスクのテイクになっていきます。過去と現在と未来は,別々のものではなく,1つに繋がっています。

植村修一 (2013). リスクとの遭遇 日本経済新聞社 pp.29
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