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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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催眠と幻視

 被験者の幻視が本物でないことは,別の実験からも確かめられる。被験者に,部屋の端から端まで歩いてほしいと頼む。途中に椅子を1つ置いておくが,被験者には椅子などないと告げておく。さて,どんな行動が見られるだろうか。被験者は,椅子が存在しないという幻を見るわけではない。たんに椅子をよけて歩いていく。このとき被験者は,傍目には椅子に気づいていないように見える。だが,気づいていないはずがない。現によけているのだから。おもしろいことに,正常な被験者に催眠術にかかったふりをしてもらって,同じ動作をさせると,被験者はまっすぐ椅子にぶつかっていく。催眠が本当に知覚を変えるという,誤った通説に従おうとした結果だ。


ジュリアン・ジェインズ 柴田裕之(訳) (2005). 神々の沈黙:意識の誕生と文明の興亡 紀伊国屋書店 p.472-473
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