忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

欲しいもの=幸せをもたらすもの?

 わたしたちは盲目的に,「自分が欲しいと願うもの」イコール「幸せをもたらすもの」であると信じていますが,実は,競争を第一義に考える脳によって,残酷にもだまされているのかもしれないのです。人が生活の中で欲しいと願うものは,進化を経た脳によって欲しがるように命じられているものであって,そこには幸福などという概念が入りこむ余地などないのです。昇進など気にせずボート作りに打ち込む,あるいはボランティア活動をするほうが,よっぽど幸せになれることは,多くの例が示しています。しかも経済的成功を重要視すればするほど,仕事にも家庭生活にも満足できなくなるのです。
 つまり,おどろくべきことですが,人はものごとを欲することに専心するあまり,自分が楽しむのを忘れてしまうこともあるのです。そうなると必然的に不満がたまりますが,そういう人は,いわゆる世間一般の(そして進化の)基準からすれば,成功者である場合が多いものです。人の行動は,欲望と,なにが幸せをもたらすかについての思いこみによって動かされます。この思いこみは実情とは食い違っていることがあるのです。人間は夢の実現がもたらす幸せを過大評価し,欲していない状況を乗り切る能力については過小評価することを思いだしてください。そのような誤りを訂正するべく経験から学べるかどうかは,残念ながら保証されていません。なぜならこの思いこみは,心に充足感を与えるためではなく,自己のDNAを複製するために設計されているからです。

ダニエル・ネトル 山岡万里子(訳) (2007). 目からウロコの幸福学 オープンナレッジ pp.174-175
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]