多くの場合,子供の誕生によって広がるギャップは,生物学的な理由と人間形成の過程にその根源がある。一般に,もともとの生物学的特質と育てられ方が重なりあって,男性と女性はその感じ方,考え方,理解の仕方に違いがある。そして次章で見るように,子供の誕生ほどはっきりと,こうした男女の根本的な違いをきわだたせるものはない。似たもの夫婦だと思っている夫婦でさえ,親になってみると,それぞれの優先順位や必要とするものがあまりにもかけ離れているのを知って愕然とする。家族的な背景や個性の違いも移行期には大きな障害となる。2人がどんなに愛しあっていても,まったく同じ価値観や感情をもっていることはないし,人生についてまったく同じ見方をしていることはない。そしてこうした個人的な違いを子供の誕生ほどはっきりと浮き彫りにするものはないのだ。
J.ベルスキー・J.ケリー 安次嶺佳子 (1995). 子供をもつと夫婦に何が起こるか 草思社 pp.20-21
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