人は,互いをよく知れば知るほど話も気軽にできる。そして互いをよく知るためには,感情を共有することが大切だ。子供が生まれた後,会話が堅苦しくなってしまうのは,この感情の共有が少なくなったせいである場合が多い。夫と妻は互いに感情的なふれあいがなくなっていると感じ,よく知らない者同士で話をするのが難しいように,話すのに困難を感じるようになる。2人が離れはじめる最初の主な原因は,時間がないことだ。四六時中世話を必要とする子供がいるのに,互いの感情をいつもくみとれるほど余裕のある人などいるだろうか?そのうえ移行が進んでいくにつれ,しばしば第二の原因が出てくる。自意識の抑制ともいえるものだ。コミュニケーションが少なくなっているため,夫や妻は今や,以前は躊躇なく分かちあっていた考えや感情を口に出すことを,なれなれしすぎるとか,個人的すぎるとか,悪くとられるのではないか,などと考えるようになる。
J.ベルスキー・J.ケリー 安次嶺佳子 (1995). 子供をもつと夫婦に何が起こるか 草思社 pp.218
PR