一方ベイズ派の主観主義者たちは,答えを実際に確率で表したいと考えていた。仮説を受け入れたり却下するだけでは不十分だった。ライファも実感したことだが,事業主にすれば,「それまでの意見に基づいて……また,具体的なサンプル事象に照らして,pが0.25より大きい確率は0.92だと考えられる」というようなことがいえるようになりたかった。
ところがこれは頻度主義者にとってまさに禁句で,頻度主義者が認めるのは「有意性が0.05レベル」のサンプル事象だけだった。ライファは頻度主義が「分布のごく浅薄な記述を中心に据えている」と見た。「私は学生に(pの分布全体について,また)確かとはいえないpがどのあたりにありそうか(について)確率を使って考えてほしかった。そのうえで意思決定の観点から見て,どのあたりに正しい行動があるのかを解明してほしかった。だから,仮説検定の問題全体が学生をまちがった方向に導くように思われたんだ」
シャロン・バーチュ・マグレイン 冨永星(訳) (2013). 異端の統計学 ベイズ 草思社 pp.266-267
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