次に戦時下の研究活動についてみると,昭和14年以降,内田勇三郎,戸川行男,外岡豊彦。横田(浜野)象一郎,谷村冨男の諸氏等により,心理検査としての標準化が進んでいた内田クレペリン精神作業検査は,昭和16年12月にわが国が第二次世界大戦に全面的に突入した事に伴い,陸軍・海軍の各種戦闘要員選抜検査として全面的に採用され,航空兵操縦・通信・偵察要員,対潜水艦要員,防空監視哨要員等々の他,軍需工場での適正配置,徴用令による徴用工員中の不適応者の選別にまで活用されていた。従って,この検査を育てた本教室関係者はもちろん在学生も,いつ応召し兵役に服しても直ちに心理学専攻者として内田クレペリン精神作業検査の実施と結果判定が,標準に正しく従って模範的に行われるように特別授業課程が心理学演習として組み込まれ,かつ判定技術をあげるための研究が,特に開戦当時から昭和18年末までの主要課題であった。また,昭和18年春には,教室として産業報国会の青少年読書調査の整理を行ったりした。
(佐伯 克記)
「早稲田大学心理学教室五十年史」編集委員会 (1981). 早稲田大学心理学教室五十年史 早稲田大学出版部 pp.15-16
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