とはいえ,「体育会」に所属しているその学生が,少なくとも1社から内定が出て,本人や周りが「体育会だから評価された」と「思い込んでいる」ことはどうやら事実のようだ。ややくどい説明になって恐縮だが,体育会関係者が就活で有利だと言える根拠はそれなりにあるのもまた事実である。ただし,体育会に所属している学生が「必ず」志望する企業に(いや,志望しない企業でさえも)内定するかどうかの確証はない。
前述したような事例についても,少なくとも個別の事例があるので,そこでその属性が「有利」あるいは「不利」であるかのように,一人歩きしていく。
ここで,可視化されるのは次のような点である。
1,人々は就職活動(採用活動)をあたかも大学受験のように考えていて,ある能力などが決定的にはたらくのではないかと期待している。
2,とはいえ,これが本当に作用したのかどうかはわからない。なぜなら,採用活動はコンフィデンシャルであり,ブラックボックスだからだ。
常見陽平 (2013). 「就社志向」の研究:なぜ若者は会社にしがみつくのか 角川書店 pp.58-59
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