さて,この労と使の関係を考慮すると,就職活動に対する見方も変わってくる。つまり,求職者である学生にとっては就職活動(就活)であるが,採用する側の企業にとっては採用活動なのである。企業とは価値の創造と継続的な利益の追求を目指す組織である。だから,採用活動においては,自社の未来を担う人材を確実に獲得することを目指すのは当然といえば当然だ。採用活動の目的や,何をもって成功とするかは短期・中期・長期で見方が変化するが,短期的には自社の採用目標の達成がゴールとなる。それは,自社がその年,採用ターゲットとした能力・資質を持った学生を,採用目標とした人数だけ獲得できるかどうかということになる。
ここが,学生の立場とはかみ合わない。学生としては,社会規範上も,仕事がないことによる経済的リスクからも,なんとか在学中に,自分が希望する企業に就職したいと考える。
常見陽平 (2013). 「就社志向」の研究:なぜ若者は会社にしがみつくのか 角川書店 pp.106
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