学生を採用しようとする企業は,就活の序盤ではナビサイトに求人広告を出す。もちろん,有料である。数十人を採用する企業であれば,就職情報会社に8桁の金額を払っていてもおかしくはない。
その後,中盤にかけて内定を出すわけだが,当然ながら内定辞退者が出て欠員が発生する。この場合,企業はどうするか?
まず,最終選考に落ちた学生に声をかけ,再面接をする。もっとも,数はそう多くとれず,欠員はそうそう埋められない。もともと中盤以降に二次募集をかける予定だった企業は,そこで欠員を補充するが,二次募集の予定がなかった企業はどうするのか?
仮に100人採用する企業に5人,欠員が出たとしよう。序盤であればナビサイトに大金を払ってでも求人広告を出す。
では,中盤以降は?
企業からすれば,たかだか5人のためにナビサイトへ求人広告は出せない。費用対効果が悪すぎるからだ。そのため,中盤以降,ナビサイトは開店休業状態が続くことになる。毎日,絶えず見ても出てくるのは公務員試験の案内か,派遣社員の求人広告くらい。前者は多くの就活生には無関係だし,後者は条件を下げてもいいから,とあきらめた学生が殺到。説明会はあっという間に満席となってしまう。
話を戻すと,欠員が出てもナビサイトに求人広告を出さない企業は,費用がかからない方法を選択する。それが,大学就職課(キャリアセンター)への求人依頼だ。過去に内定者の出た大学や関係の深い大学に,ピンポイントで依頼をする。費用がかからず,しかも大学側もそうそう下手な学生は勧めてこない。初期選考を大学に丸投げしたも同然だ。こういう求人依頼があるのだから,大学就職課も捨てたものではない。
石渡嶺司 (2013). 就活のコノヤロー:ネット就活の限界。その先は? 光文社 pp.46-47.
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