いくら仕事に直接関係ない,座学などくだらないと言っても,授業の課題でレポートを書けば文章力・書類作成能力に多少はつながるし,ゼミでの討論は,就活でのグループディスカッション,社会に出たときの交渉能力に多少なりともつながるだろう。少なくとも,くだらない有料セミナーに金をつぎ込むよりははるかにましなはずだ。
実際,2010年代の勉強をしている学生は,たとえばゼミの予定が企業の説明会・選考などに重なると,気軽に電話して日程をずらすように交渉する。この学生に話を聞くと「いや,勉強のほうが大事ですし,電話してダメならご縁がなかったと思うしかないです」とこともなげに言った。
一方,2010年代の勉強していない学生は,本当に勉強していない。インフレ・デフレの違いがわかっていないなど基礎教養がボロボロである。文章もろくに書けない,コミュニケーションとは相手を言い負かすか,SNSで標的を罵倒することであると勘違い……。こういう学生に対して「勉強はムダ,うちの社に来なさい」と言える採用担当者が何人いるだろうか。
石渡嶺司 (2013). 就活のコノヤロー:ネット就活の限界。その先は? 光文社 pp.169
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