その結果,おおざっぱにまとめると,教師が見ている「スクールカースト」の風景は,生徒に見えているそれとほとんど変わらないと言えることがわかりました。
しかし,生徒が「権力」として「スクールカースト」を把握していたのに対して,教師は「スクールカースト」による「地位の差」を,「能力」として把握しているということもわかりました。
彼ら教師は,「スクールカースト」を,「生きる力」や「コミュニケーション能力」によって成り立っていると解釈することによって,「スクールカースト」があることそれ自体を,肯定していることが明らかになりました。
また,肯定しているがゆえに,その「スクールカースト」を積極的に学級経営の戦略として利用しているということも明らかになりました。そのため,教師は,学級担任を持つ際には,「スクールカースト」を把握することを重要視しており,把握できることを教師の力量であると考えている教師もいることもわかりました。
鈴木 翔 (2012). 教室内カースト 光文社 pp.263
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