データに誤りがあるところには問題が生じる(あるいは,CDOのように,前提に誤りがある場合に問題が生じる)。たとえば,5足す5を計算するときに,キーを誤って押したとしよう。5足す5の代わりに5足す6とした場合だ。本当は10になるはずなのに,11という結果が出る。間違ってはいるが,たいした差ではない。足し算の結果は線形なので,誤りには寛容だ。しかし,指数関数的な計算では,データの誤りは厳しく咎められる。5の5乗(=3215)と5の6乗(=15625)では,結果が大きくかけ離れてしまう(500パーセントも違う)。
プロセスが動的であれば——つまり,ある段階でのアウトプットが次の段階のインプットになっているときには——事態はさらに深刻になる。たとえば5を5乗し,その結果を5乗するとしよう。先ほどと同じ間違いをした場合,その差は3000倍となる。些細な間違いがどんどん大きくなるのである。
ネイト・シルバー 川添節子(訳) (2013). シグナル&ノイズ:天才データアナリストの「予測学」 日経BP社 pp.132
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