民間企業の天気予報に関しては,どれほど正確かという統計的な現実は必ずしも重要ではない。消費者が正確だと認識することに価値がある。
たとえば,民間企業の天気予報では,降水確率50パーセントという言い方はめったにしない。消費者の目にはどっちつかずで優柔不断に映るからだ。そのため,正確性や正直さを多少犠牲にしてでも,切り上げて60パーセント,あるいは切り下げて40パーセントとしている。
フレアは,こうした数字のごまかしについて明かしてくれた。だから民間企業の天気予報には意図的なバイアスがかかっている。特に降水確率については実際より高くなるようにバイアスがかかっているようだ。これを気象学者は“雨のバイアス”と呼んでいる。たいてい,公的機関の予報との差が大きいときほど強いバイアスがかかっている。民間企業の天気予報は“価値を足すために正確性を引いている”のである。
ネイト・シルバー 川添節子(訳) (2013). シグナル&ノイズ:天才データアナリストの「予測学」 日経BP社 pp.147
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