ミュンスターバーグは記憶に関する自身の考え方を書物にまとめて発表し,その本“On the Witness Stand: Essays on Psychology and Crime”(『証言台にて—心理学と犯罪に関する評論集』)はベストセラーとなった。そのなかで詳しく述べられている数々の重要な概念は,いまでは多くの研究者が,記憶の実際の働きと対応していると考えている。第一に,人間は出来事の一般的な要点はよく記憶できるが,記憶の実際の働きと対応している考えている。第二に,正確に話そうと誠実に対応する善意的な人間でさえ,覚えていない細部を問い詰められると,うっかりでっち上げて記憶の欠落を埋め合わせてしまう。そして第三に,人間は自分がでっち上げた記憶を信じてしまう。
レナード・ムロディナウ 水谷淳(訳) (2013). しらずしらず:あなたの9割を支配する「無意識」を科学する ダイヤモンド社 pp.85
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