別の研究では,ある都市の住人に6月1日と6月30日の気温の違いを見積もってもらうと,実際よりも小さく見積もる傾向があり,同じ人たちに6月15日と7月15日の気温差を見積もってもらうと,実際よりも大きく見積もることがわかった。日にちを恣意的に月ごとにグループ分けすることで認識が歪められ,同じ月に含まれる2つの日を,間隔はそれとまったく同じだがそれぞれ違う月に含まれる2つの月よりも,互いに似ているととらえるのだ。
これらのいずれの例でも,人間は分類をおこなうと,偏重した考えを持つようになる。何らかの恣意的な理由で同じカテゴリーに属すると考えた者どうしを,実際よりも似ているととらえ,異なるカテゴリーに属するものどうしは実際よりも大きく違うととらえるのだ。
レナード・ムロディナウ 水谷淳(訳) (2013). しらずしらず:あなたの9割を支配する「無意識」を科学する ダイヤモンド社 pp.217
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