今日,脳の大きさと知性の高低を直接結びつける者はいない。ただそれでも,時の経過とともに見られる脳の大型化は,進化の度合をはかる代替の尺度として利用されてきた。私たちの平均的な脳容積は1300〜1500ccで,ホモ・ハビリスのざっと2倍である。もちろん体も大きいが,それを考慮に入れて見積もったとしても,私たちの脳が比率としてずっと大きいのは間違いがない。ホモ・エレクトスは,ひとつの指標とされる1000ccという脳容積の壁を初めて突き破った。そこに身長の高さと直立歩行を加えれば,どこからどう見ても立派な人間だ。
クライブ・フィンレイソン 上原直子(訳) (2013). そして最後にヒトが残った 白楊社 pp.65
(Finlayson, C. (2009). The Humans Who Went Extinct: Why Neanderthals Died Out and We Survived. Oxford: Oxford University Press.)
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