この一連の発見で重要なのは,ゴーラム洞窟のネアンデルタール人たちが,大型哺乳類の奇襲を専門とする狩人ではなく,目の前にある豊富な資源を使いこなせる器用な採集者だった事実が示されたことだ。おそらく彼らの食生活はこれまで確認されているものよりも広範囲にわたり,果実,地下茎,地虫なども食べていたに違いないが,そうしたものは痕跡を残さずに消えてしまったのだろう。いずれにしても,大型哺乳類が食料の摂取率に占める割合はごくわずかだったはずである。
クライブ・フィンレイソン 上原直子(訳) (2013). そして最後にヒトが残った 白楊社 pp.205
(Finlayson, C. (2009). The Humans Who Went Extinct: Why Neanderthals Died Out and We Survived. Oxford: Oxford University Press.)
PR