気候の変動が激しくなり,それまで温暖な環境が広がっていた地域にツンドラステップがせまってくると,そこに暮らすあらゆる種類の人類たちは技術を発展させて変化に対処しようとした。しかし,最終的にはたくましい体格が裏目に出てしまう。たとえ高い技術をもっていたとしても,そうした体で動物を求めて広大な土地を歩き回ることの弊害を埋め合わせることはできなかった——ネアンデルタール人の絶滅とは,長きにわたって存在したある特有の体格の絶滅だったとも言えるのである。
クライブ・フィンレイソン 上原直子(訳) (2013). そして最後にヒトが残った 白楊社 pp.235
(Finlayson, C. (2009). The Humans Who Went Extinct: Why Neanderthals Died Out and We Survived. Oxford: Oxford University Press.)
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