自己認識は,動物が時間と空間という視点を得て,仲間やそのほかの存在を意識していくうちに,自然に生まれてきたもののように思われる。この能力が,何らかの利益をもたらすためのものなのか,あるいは脳が発達する際に生じた副作用にすぎないのかはわからない。だがともかく,いったん獲得されると,私たち自身の複雑な情報伝達システムに組み込まれることになった。こうして私たちは,自らの行動と倫理観がどのような結果をもたらすかを自覚できる動物になったのである。
クライブ・フィンレイソン 上原直子(訳) (2013). そして最後にヒトが残った 白楊社 pp.287
(Finlayson, C. (2009). The Humans Who Went Extinct: Why Neanderthals Died Out and We Survived. Oxford: Oxford University Press.)
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