ピクルスを緑色にするのに銅を使うというのは,食品製造業者が家庭での悪しき習慣を踏襲していた場合だった。野菜のピクルス——ガーキン,サムファイア(セリカの多肉草),莢インゲン,グリーン・カプシクム——がよく売れるようにするには「鮮やかな緑色」にする必要があるのは残念だと,アークムは書いている。アークムが嘆いているように,こんなふうに緑色のピクルスを好む結果が「致命的」になる場合があった。彼はパーシヴァル博士が書いている症例を引用している。「ある若い婦人は,髪を結ってもらっているあいだ,銅の染み込んでいるサムファイアのピクルスを食べた。まもなく彼女は胃の痛みを訴えた。すると5日後,胃が異常に膨らんだ。そしてピクルスを食べてから9日後,彼女は死によって苦しみから救われた」。銅は「小さな緑のライム,シトロン,ホップの毬果,スモモ,アンゼリカの根」のような甘いものにも使われた。それは常に,活力を与えるものという印象を与えるためだが,まったく間違いなのだ。
ビー・ウィルソン 高儀 進(訳) (2009). 食品偽装の歴史 白水社 pp.41-42
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