2004年,牛肉に比べて低脂肪で「健康的」な肉と思われてきた鶏は,飼育方法が変わったせいで,35年前より3倍近く脂肪が増えていることがわかった。ロンドン・メトロポリタン大学の脳化学・人間栄養学研究所の脂肪専門家マイケル・クロフォード教授は,体に良いと信じて今の鶏を買う消費者は「すっかり騙されている」と言った。1870年代に記録が取られるようになって以来,ロースト・チキンの脂肪の含有量は初めて蛋白質の含有量を上回った。チキンの「蛋白質からのカロリーの6倍のカロリーが脂肪から摂取される」と,クロフォード教授は書いている。それは,油をぽたぽた掛けることもなしに,チキンをレモンと塩であっさりと焼いた場合でさえ,そうだった。1970年,チキンは百グラムあたり8.6グラムの脂肪を含んでいた。今では,平均的なスーパーマーケットのチキンはなんと22.8グラムの脂肪を含んでいる。ロースト・チキンの脚1本はビッグマック1個以上の脂肪を含んでいるのだ。現在,英国人は1人あたり年に30キロ近くのチキンを食べている。1970年代の2倍以上である。
ビー・ウィルソン 高儀 進(訳) (2009). 食品偽装の歴史 白水社 pp.378-379
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