心理学の世界では,理論というのはどれほどすばらしくても重くは見られない。アイデアのおかげで進歩すると思われがちだが,たいていの場合はそうではない。新しいアイデアを考えつくのは難しくない。人がなぜある行動をとるのか,誰もがそれを説明するお気に入りの説を持っている。だから心理学者は新しい説を思いついても,たいてい「あら,そんなことならうちのおばあちゃんだって知ってるわ」というセリフとともに却下されることになる。科学は新しい学説のおかげではなく,それを検証するうまい方法を見つけた誰かのおかげで進歩するのだ。
ロイ・バウマイスター&ジョン・ティアニー 渡会圭子(訳) (2013). WILLPOWER 意志力の科学 インターシフト pp.19
(Baumeister, R. F., & Tierney, J. (2011). Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength. London: Penguin Books.)
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