3つ目は衝動のコントロールと呼ばれるもので,意志力と聞いたときに大方の人が思い浮かべるのがこのカテゴリーだ。アルコールの誘惑や,たばこやシナモンロールやバーのウェイトレスの誘惑に逆らう能力がこれにあたる。「衝動のコントロール」という呼び方は厳密に言うと正しくない。人が実際にコントロールできるのは衝動ではないからだ。オバマ大統領ほど並外れて自制心のある人物でさえ,たばこを吸いたいという衝動が時々わくのを抑えることはできない。その衝動に対してできるのは,対応の仕方をコントロールすることだ。オバマ大統領の場合は衝動を無視したのだろうか?それともニコチンガムを噛んで我慢するか,こっそり抜けだしてたばこを吸ったのだろうか?(ホワイトハウスによると,大統領はふだんタバコを吸うのを我慢していたが,吸ってしまうこともあったという)
ロイ・バウマイスター&ジョン・ティアニー 渡会圭子(訳) (2013). WILLPOWER 意志力の科学 インターシフト pp.53-54
(Baumeister, R. F., & Tierney, J. (2011). Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength. London: Penguin Books.)
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