グルコースなくして意志力なしというわけだ。被験者と条件を変えて同様の実験が繰り返されているが,そのたびにグルコースと意志力との間には関係があるという結果が出ている。犬を対象にした実験も行われたほどだ。人間は文化的な動物になる過程で自己コントロールの能力を幅広い物事に対応できるように発展させてきており,そういった意味ではとても人間的な性質と言えるかもしれない。しかしそれは人間の専売特許というわけではない。人間以外の社会的な動物も,お互いにうまくやっていくためには,ある程度の自己コントロールが必要になる。犬は人間と暮らしているため,多くの場面で,たとえば客の股の匂いをかいではいけない(少なくとも人間の股は)というような,犬から見るとばかげた気まぐれなルールに従って行動することを覚えなければならない。
ロイ・バウマイスター&ジョン・ティアニー 渡会圭子(訳) (2013). WILLPOWER 意志力の科学 インターシフト pp.69
(Baumeister, R. F., & Tierney, J. (2011). Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength. London: Penguin Books.)
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