目標に到達するには,どれくらい細かな計画をたてるべきなのだろうか?ある入念に設定された実験で,勉強の技術を向上させるプログラムに大学生を参加させた。時間の有効な使い方についての一般的な指示をしたあと,条件の違う3つのグループに分ける。第1グループは毎日,何を,いつ,どこで勉強するか細かく計画を立てる。第2グループは毎日ではなく,月ごとに同様の計画を立てる。そして第3グループは対照群で,何も計画を立てずに勉強する。
実験者は,毎日計画を立てたグループが一番よい結果が出るはずだと予測した。しかしそれは間違いだった。月ごとの計画を立てたグループが,勉強の習慣を身につけるという点でも,勉強への姿勢という意味でも,一番成長が見られたのだ。成績がよくない学生(もとから成績のよい学生ではなく)の間でも,月ごとの計画を立てた学生たちのほうが毎日の計画を立てたグループより,はるかに成績が伸びた。そして実験が終わったあとも,その習慣が続く確率が高かった。実験が終わって1年後,どちらのグループの学生も計画を立てるのはやめていたが,月ごとの計画を立てた学生たちのほうが,毎日の計画を立てた学生よりもよい成績をとっていた。
ロイ・バウマイスター&ジョン・ティアニー 渡会圭子(訳) (2013). WILLPOWER 意志力の科学 インターシフト pp.99
(Baumeister, R. F., & Tierney, J. (2011). Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength. London: Penguin Books.)
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