情報を公開することで,自分の恥をさらす可能性はある。自分では当たり前すぎて気づかない進歩の兆候を,第三者に指摘されて励まされることはよくある。そしてうまくいかないとき最も効果的な解決法は,どこかに助けを求めることなのだ。人気QSアプリケーションの「ムードスコープ」を開発したのは,うつ病と闘い自分の体調を監視する助けを求めていた,ある起業家だった。彼は自分の気分を測定する簡単なテストを受けられるアプリケーションを考案した。自分の感情の起伏を記録し,そのパターンと原因を考えるのに使えるだけでなく,結果が自動的に友人たちに送られるという機能をつけた。こうすれば気分がふさいでいるとき,友人たちがデータを見て連絡をくれる。
「こういうデジタルツールは,自分や互いのモチベーションを高めるための触媒にすぎません」とダイソンは言う。「自分に合ったモデルが見つかるはずです。友人たちと数字を比べるのは,彼らの前で恥をかきたくないとか,チームの足を引っ張りたくないとかいう気持ちが起こるのを期待してのことかもしれません。人によってモチベーションの高め方は違いますから」
ロイ・バウマイスター&ジョン・ティアニー 渡会圭子(訳) (2013). WILLPOWER 意志力の科学 インターシフト pp.159-160
(Baumeister, R. F., & Tierney, J. (2011). Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength. London: Penguin Books.)
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