問題に思える性質は「衝動性」で,それは先延ばしの研究で繰り返し現れる。先延ばしは女性よりも男性,特に若い男性にとって大きな問題であることが,最近の研究で証明されたが,このことも衝動性説を裏付けるよすがになる。男性のほうがコントロールするのが困難な衝動を持っているのだ。難しい仕事に不安を感じるとき,あるいは日常の雑務に退屈しているとき,何か他のことをして気分を高めたいという衝動に負けてしまう。彼らは目の前にある楽しみに飛びつき,期末レポートを書く代わりに,ビデオゲームをしたりキッチンの掃除を始めたりする。そしてそれが長期的にどんな結果をもたらすかは無視しがちだ。締め切りのことが思い浮かんだら,最後の最後まで待つほうが賢明だとさえ考える。「締め切りのプレッシャーを受けながら仕事をするときが一番はかどるんだ!」。しかしほとんどの場合,彼らは自分をごまかしていることを,バウマイスターとダイアン・タイスが突き止めた。
ロイ・バウマイスター&ジョン・ティアニー 渡会圭子(訳) (2013). WILLPOWER 意志力の科学 インターシフト pp.303
(Baumeister, R. F., & Tierney, J. (2011). Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength. London: Penguin Books.)
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