ここまで各学校段階と文部科学省の表の関係ばかりを述べてきたが,一方で現場からの感情的な不信感や嫌悪感があることも頭に置いておかねばなるまい。日教組や進歩派大学教官と対立が激しかった頃からの「反文部省」感情が,過去と比較して薄れたとはいえ「反文部科学省」感情として現在も残っているのは否めない。
現実に学校現場や大学から嫌われる政策を実行した部分は,あえて嫌われる役割を演じなければならなかったわけで,それはそれとして仕方がないだろう。見過ごせないのは,実態もないのに「悪者」視されている部分である。
文部科学省→都道府県教育委員会→市町村教育委員会→公立小中学校,文部科学省→都道府県教育委員会→公立高校,あるいは文部科学省→国立大学という指導,助言系統の中で,上意下達の空気を背景に,「文部科学省がこう言っているから……」との説明が方便として使われ,言ってもいないことを文部科学省のせいにされてしまっている場合が少なくない。
寺脇 研 (2013). 文部科学省:「三流官庁」の知られざる素顔 中央公論新社 pp.70-71
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