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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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ASPを認めよ

 反社会的行動を「現代文化」や「世の中」のせいにし,その共通した行動パターンを全体的にとらえることなく,ひとつひとつの行為にばかり目を向けていると,この障害の存在が見えにくくなってしまう。人々を不安に陥れるショッキングな犯罪や社会問題の多くは,はっきりと明確に認識できる特徴を持つ者たちにたどることができるのである。その多くは男で,彼らは恨み,怒り,不正直,暴力,モラルの欠如,などに満ちており,人々の生活や生命を危機に陥れるような,考えられうるあらゆる行動をする。
 ほとんどの人は,自分の周囲を見渡せば問題のある人物がいるのを発見するだろうし,新聞を開けば,ASPとおぼしき者による凶悪犯罪の記事は引きも切らない。どんな国へ行こうが,どんな社会や民族であろうが,どんなに遠く離れた土地であろうが,執拗にルールに逆らい,権威を拒絶し,盲目的な利己主義によってのみ行動する,明らかにASPとわかる者たちがいる。すなわち,ASPはどのような国にも,民族にも,文化にも存在するのである。
 最近では,「うつ病」とか「精神分裂病」とか,「ADD」など,精神病であるなしを問わず一般にも名がよく知られるようになった精神障害がいくつかあるが,ASPについて語られることはまだあまりないようだ。その領域の広さと潜在的危険性の高さを考えれば,ASPという障害は驚くほど知られていないと言っていい。クレックリーが,「ASPが人間にとって重大な健康障害であることを世の中が完全に認めるまでは,この障害の及ぼす問題と苦闘している人たちを助けるためにできることはほとんどないだろう」と述べてから四半世紀がたったいま,私たちは依然として,この障害のはびこりと,それが招いている結果を見過ごしているのである。

ドナルド・W・ブラック 玉置 悟(訳) (2002). 社会悪のルーツ ASP(反社会的人格障害)の謎を解く 毎日新聞社 p.259-260.
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