いつの時代にも,富を生み出すにはかならず,知識が必要である。狩猟採集民族は,狩りをするにあたって,動物の移動パターンの知識を必要としていた。だが,こうした知識はいったん獲得すれば,何世代にもわたって役に立つのが通常であった。工場労働者は,機械を素早く安全に操作する方法を知っている必要があり,この知識は職についているかぎり役立った。
現在では,仕事に必要な知識は急速に変化しているので,職場内と職場外で新しい知識を学ぶ必要が高まり続けている。学習は終わりのない継続的な過程になった。このため,考えている点の一部が馬鹿げていても,困惑する必要はないといえる。馬鹿げたことを信じているのは自分だけではないのだ。
その理由はこうだ。知識のすべての部分に結局のところ,賞味期限がある。ある時点で,知識は古くなり,「死知識」とでも呼べるものになる。
アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー (2006). 富の未来 上 講談社 pp.211
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