独学とグルから学ぶ方法がとくに生産能力を高める点で効果的なのは,最先端の新技術を使うスキルを学ぶためのもので,有料の公式のコースがまだあまりない時期である。公教育の学校がパソコンを買い,新しい教科を開発し,カリキュラムを変更し,教師を訓練し,これらすべてのために資金を調達するのを待たなければパソコンの使い方が学べなかったとすると,パソコンが企業と経済全体に普及するのは,はるかに遅れていただろう。したがって,パソコンの初心者がとった行動は,ほんとうに生産能力を高めるものだった。自主的に知識を広め,遅れが出ないように近道を通って,金銭経済での技術の進歩を早めたのである。
この大学習運動によって,富の基礎的条件の深部にある多数の要因との関係が変化した。時間を使う方法と時が変わった。仕事をする場所が変わり,空間との関係が変わった。社会の中の共通知識の性格が変わった。
生産消費者は生産を行うだけではない。生産能力を高めてもいる。そして,明日の革命的な富の体制を成長させる一助になっているのである。
アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー (2006). 富の未来 上 講談社 pp.367-368
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