いうまでもなく,歴史をみれば,スキャンダルや失敗や危機はいくらでもある。今の時代になって急に現れたわけではない。だが現在,多数の国でつぎつぎに起こる危機は,これまでのものとは明らかに質的な違いがある。おそらく第二次世界大戦の最悪期を除けば,これほど多数の国で,これほど多数の制度が,これほど短期間に,これほどのペースで,つぎつぎに破綻したことはなかった。
そして,これほど多数の制度の危機が密接に関連しあったことはなかった。現在では,強力なフィードバックの仕組みによって家族と教育と仕事と医療と年金と政治とマスコミが結びつけられ,これらのすべてが富の体制に影響を与えているのである。そして,再グローバル化のために,これらの危機が金融市場に与える影響が,かつてなかったほど短時間に,かつてなかったほど多数の国境を越えて波及している。
アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー (2006). 富の未来 下 講談社 pp.38-39
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