忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

言語の間引き

国民国家は,言ってみれば言語の間引きをおこなっているのだ。この点で国民国家は,世界画一化をおしすすめるビジネス・マネージャーであるといってよい。引きつづき言語の世界地勢を数値で特徴づけてみるならば,次にあげる一連の数字がたいへん重要な意味をもつ。1945年に国連憲章は52の加盟国によって調印された。現在,国連には160カ国が加盟している。だから,いまある国家の3分の2はせいぜい1世代を経たくらいの年齢にしかならないのだが,ヨーロッパの先例にならうかぎりで,それらの国民国家はただひとつの言語を国民統合のシンボルとして位置づけ,この言語にアルファベット文字をあてがって標準化しようとしている。そして,世界文明の中身を——好まれる言い方を用いるならば——「輸送」し「コミュニケート」することができるように,その言語を「発展」させることを自らの課題とみなしている。これらの国家は,ばかげた言語観を輸入して,ヨーロッパでは数世紀かかった「近代化」のプロセス,つまり,中世の普遍的ラテン語による文字文化から俗語が分離したプロセスを数十年のうちになしとげることを目指している。国境の内部の土地を完璧に地ならしする以外に,どうしてそんなことがなしとげられようか。そして,それによって,年若い国家とそこで伝統的に話されてきた諸言語は,まったくの無防備状態におかれてしまうのではないだろうか。

ウヴェ・ペルクゼン 糟谷啓介(訳) (2007). プラスチック・ワード:歴史を喪失したことばの蔓延 藤原書店 pp.30
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]