そもそも人事部採用担当にとって一番避けるべき事態は,新人を配属した先から「何でこんなレベルの低いのを採ったんだ!人事は一体何を見ているんだ」とクレームがつくこと。人事の威信と沽券に関わる問題だ。このため人事の採用原則は,優秀な人材を採ることではなく,ダメな人を採らないことなのだ。この点で過去の採用実績の多い大学の学生は,ある程度レベルも読め,大きなハズレもない安全パイだ。多少,デキが悪くても,自分の大学の後輩であれば,諸先輩もあまり厳しいことは言わない。また有名大学から採っておけば,仮に後で「採用ミス」となじられても,「ポテンシャルは高いはず。それを育てられない現場が悪い」と言い返せる。いずれにせよ,人事部にとって大学を実質的な採用基準にすることは,最大のリスクヘッジなのである。
渡部昭彦 (2014). 日本の人事は社風で決まる:出世と左遷を決める暗黙知の正体 ダイヤモンド社 pp.151-152
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