忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ノスタルジーという病気

1688年,不安感が世界中に広がり,郷愁がつのったあまり涙するということが多くの人に起こった。
 この感情のうねりを最初に発見したのはスイスの医師ヨハネス・ホーファーである。彼は,ベルンで学びながらも,ふるさとバーゼルが恋しくてたまらないという青年の治療に成功した。もうひとりの患者はベルンに出てきた田舎の少女で,激しく転倒して昏睡状態に陥っていた。目を覚まして見慣れないベッドに寝ていることに気づくと,彼女は両親に会いたいと言い続け「家に帰りたい。家に帰りたい」と訴えた。
 たまたま類似した出来事が続いたことから,「ノスタルジア」という新しい病名が生まれた。ノスタルジアとは「ふるさと」を意味するギリシア語の「ノソス」と「悲嘆」を意味する「アルゴス」から作られた言葉である。この病気は,1700年までには世界中の医師たちに受け入れられ,その原因と治療について医学書や医学雑誌で激しく議論されていた。

ネイサン・ベロフスキー 伊藤はるみ(訳) (2014). 「最悪」の医療の歴史 原書房 pp.94-95
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]