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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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大量のヒル

フランス人は1年に400万匹のヒルを消費していたので,多くの医師はヒルの絶滅を恐れていた。需要に応じるため,女性たちはヒルがうようよする池に入り,足に吸い付かせた。
 プロのヒル売りが病院を巡回し,各地の薬局は1樽いくらでヒルを販売していた。イギリスの有名な司法改革者サー・サミュエル・ロミリーは2匹のヒルをペットとして飼育していた。毎日「食事」を与え,名前もつけていたということだ。
 ある医師はヒルに絹糸をつけ,患者の喉の奥に下していった。ヒルが血を吸って重くなると,魚を釣るように糸を巻き上げた。男性の睾丸から血を抜くときは,数日の治療期間で100匹以上のヒルを使った。イギリスの偉大な外科医アストレー・クーパーの報告によると,多くの男性は,ヒルが鼠径部に吸い付くのは不快だとしてランセットによる瀉血を選んだ。
 肛門にヒルを吸い付かせることもよくあった。しかしその場合は,患者が異常な収縮や痙攣を起こすことがないよう注意が必要だった。1818年,ウィリアム・ブラウン博士は,座面に穴があり下にバケツを置いた椅子を使うよう提案している。博士はヒルを首の長いびんに入れて患部に向かわせた。オズボーン博士は溝のついた棒をしっかり上向きに押し込む方法を推奨している。彼はその棒に装飾的な皮革製の柄をつけていた。
 子宮の病気,性的興奮,そして「イライラ」全般の軽減のために,主な教科書や雑誌類は膣へのヒル使用を勧めていた。イングランドでは「それなりの地位」の男性は,2週間に1回は奥方にヒル治療をさせていた。

ネイサン・ベロフスキー 伊藤はるみ(訳) (2014). 「最悪」の医療の歴史 原書房 pp.147-148
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