ミネソタ大学のハロルド・グロテバント(55歳)も,養親の都合が先行していることを認める。グロテバントは,全米の720人の生みの親らを継続調査し,養子縁組の功罪を丹念に研究しており,アメリカ内の養子縁組のトレンドを追っている研究者の1人だ。
「より健康で,より年齢の低い赤ちゃんを確実に見つけようとすれば,養子を望む夫婦の視線は海外に転じることになる。場合によっては,これに『より早く』という要素も加わる。米国内の養子縁組で出会える健康な子どもの数はかなり少ないし,里親制度を通じて比較的大きな子どもを縁組するのは容易だが,赤ちゃんを受け入れるには何年もかかるからです」
アメリカ国内では白人の養子は常に少なく,需要過多の状態にある。費用は3万ドル前後が相場といわれるが,時間がかかる。白人以外の養子はたくさんいて,斡旋事業者によっては費用を安くするところもある。
高倉正樹 (2006). 赤ちゃんの値段 講談社 pp.148
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