「アメリカには国民保険なんてない。民間の保険料は高すぎて,ほとんどの人が入れないんだ。自己破産の原因ナンバーワンはなんだと思う?」
私の頭に,日本でブランド物を買いあさった挙句に自己破産をする主婦たちのことが浮かんだ。
「クレジットカードの使いすぎ?」
私が言うと,ジョンは首をふった。
「それはメディアに刷り込まれたイメージだろう?実際はカード破産なんて1パーセント以下だよ。アメリカの自己破産申告の理由は2つ。医療費と離婚費用だ。」
現在アメリカでは,医療費が原因による自己破産により,債務者や,約70万人の児童を含む扶養家族など,毎年約200万人の国民が影響を受けている。
そして,国民の5人に1人,4500万人が医療保険に入っていない。
「破産するのは貧乏人だけじゃないよ。その多くはごく普通の市民なんだ。想像できるかい?まっとうに働いている中流階級の一家が,ある日家族の1人が病気にかかったってだけで,高すぎる医療費請求書につぶされて破産,社会的に抹殺されるんだぜ?」
堤 未果 (2006). 報道が教えてくれない アメリカ弱者革命 --なぜあの国にまだ希望があるのか 海鳴社 p.68
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