泳ぎ方が変わった時にはなおさらだ。たとえば,わたしが子供だったときには,クロールは身体を平らに,それもヒラメのように真っ平にして泳ぐよう教わった。地上で手本を見せてくれるようインストラクターに頼むと,彼らはじっと立って腕だけを動かした。右,左,右,左。呼吸についても同じ。体全体ではなく頭だけをターンしながら,胸いっぱいに息を吸い込めと教わった。
今日,すべてはローリングにつきる。頭と背骨を一直線に保ち,前方に手を伸ばすとき,体はパンケーキよりはナイフのようでなくてはならない。手本を示す人はデッキに立って,ヒップと反対側の腕を前へ後へと動かす,まるでジルバでも踊っているかのような動作をするだろう。
「水中でピラティスでもするように,身体のすべての部分を一直線に並べることを習得しなくてはならない」。説明が抜群に上手いからと推薦された,テキサス州サンアントニオの有名な元クラブコーチ,ジョージ・ブロックは助言する。「体幹を使って流線形を作り,次に腕と脚で推進力を加えなさい」と。
リン・シェール 高月園子(訳) (2013). なぜ人は泳ぐのか?水泳をめぐる歴史,現在,未来 太田出版 pp.100-101
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