忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

クロプマニア

窃盗を疾病とみなす考え方のもうひとつのルーツは,フィリップ・ピネル(1745〜1826年)が1806年に著した『精神病論』に見られる。ピネルはナポレオンの侍医を務め,近代精神医学の父と呼ばれた人物だ。精神病患者を鎖で拘束するのに反対したことで知られる。精神疾患の体系的な診断法を開発し,それをパリで他の医師たちにも教授した。
 1816年,ピネルの弟子でスイス人のアンドレ・マティは,ギリシャ語の“kleptein(盗む)”と“mania(狂気)”を組み合わせて,窃盗症を意味する“klopemania”という新語を作った。アンドレ・マティは“クロプマニア”に分類される盗みを「窃盗傾向」と「必要のない窃盗」と呼び,この種の形質があがって盗みをした者を何人か例示している。マティはクロプマニアの窃盗衝動は「持続的だが,錯乱をともなうことはほとんどない」とし,「理性は維持されており,この隠された衝動を抑えようとするが,“窃盗傾向”が意思を凌駕する」と考えた。こうした理論は,法廷での万引きの無罪判決につながった。

レイチェル・シュタイア 黒川由美(訳) 万引きの歴史 太田出版 pp.54-55
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]