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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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無自覚の一瞬のゲーム

誤解されかねないとは,謎に似ているということである。結論をみちびき出す仕事が読者にゆだねられていて,隠喩の読者は,いわば解法を見つけるゲームによって遊び,みずから発見した回答にささやかな驚きを感じる。もちろん,白鳥とはじつは美しい娘のことだ,ライオンとは実は勇士のことだった,という答えを見つけるのに,まさか詰め将棋じゃあるまいし,じっくりと考えこむことはなさそうだ。ほとんど無自覚の,一瞬のゲームである。しかし,たしかに読者はそこに参加している。ところが,直喩の場合は,回答はすでに書き手によって用意されているから,読み手は,その意外性に驚くことはあっても,みずから,誤解の危険をおかしつつ解読ゲームに参加することはない。傍観者の立場に近い。いちおうは,隠喩と直喩の読み取りにはそういう差があると考えていい。

佐藤信夫 (1992). レトリック感覚 講談社 pp.110-111
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