ウンコは社会学者と科学者がやっかいな問題(ウィキッド・プロブレム)と呼ぶものである。
やっかいな問題という概念を1970年代に導入したソーシャルプランナーは,従来の科学で対処できる「飼い慣らされた」問題とされるものとそれを区別した。やっかいな問題と呼ばれるものは,範囲がはっきりせず,首尾一貫していない。その解決が難しいのは,情報が不完全であるか,問題の解決を求める者たちの要求が常に変わり続けているからだ。やっかいな問題は,一見したところ並立しないさまざまな視点から定義することができ,だから問題の信頼できる公式化も最適な解決法も存在しないのだ。中でもいちばん始末に負えないのは,問題のある面を解決しようとすると,別の問題が生まれたり,表面化したりするかもしれないことである。
デイビッド・ウォルトナー=テーブズ 片岡夏実(訳) (2014). 排泄物と文明:フンコロガシから有機農業,香水の発明,パンデミックまで 築地書館 pp.20
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