ヒツジは,ウシと水牛を除く偶蹄類の例にもれず,円筒形か丸型で通常は片方の端が突き出し,もう一方がくぼんだ粒を小さな山にして落とす。
ウシ,スイギュウ,バイソンは,円形に積み重なった平べったい糞を落としていく。昔よくパイとかパットとか呼んだものだ。これは形が非常にはっきりしているので,飛ぶ虫を引き寄せ,卵を産み,幼虫が孵り,そうすることでウンコは鳥が食べられるタンパク質へと変わる。糞虫も引き寄せられ,糞を次の世代への糞虫へと変える。
馬糞はイボイノシシのものに似て——飛行機で隣の席の人に話すのにちょうどいいムダ知識だ——ソラマメ型と言われているが,私には黒っぽいライ麦パンに見える。そう感じたのは私だけではないようだ。というのは冒険心にあふれる企業が少なくとも一社,馬糞が道路に落ちる前に受け止める「バン・バッグ」と呼ぶものを開発しているからだ。馬の糞はリンゴに似ていると思った人もいたに違いない。だから「道のリンゴ(ロード・アップル)」という言葉が生まれたのだ。もっともこのアメリカの俗語は,そもそもは旅芸人を指すものだったようだが。
デイビッド・ウォルトナー=テーブズ 片岡夏実(訳) (2014). 排泄物と文明:フンコロガシから有機農業,香水の発明,パンデミックまで 築地書館 pp.74-75
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