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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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トキソプラズマ症

トキソプラズマはとても小さな寄生虫で,ネコの腸内に棲み,有性生殖を行なう。ネコ科動物はシスト(訳注:表面に膜を作って休眠した状態の生物)を便の中に出すことができる唯一の動物であり,それも初めて感染した子猫の時期だけだ。トキソプラズマは子猫に抑鬱と食欲不振を引き起こすことがある。トキソプラズマに感染した動物の行動が変わることも証明されている。感染したネズミはネコをあまり怖がらなくなり,食べられやすくなって,感染のサイクルが完成する。
 だが,トキソプラズマ症がより心配されるのは,人間の病気としてだ。成人の大部分では,発熱,痛み,目の中の小さなシスト(飛蚊症)といった症状が出る。脳内のトキソプラズマのシストが統合失調症と関係していると主張する研究者もいる。女性が妊娠中に初めて感染すると,流産や死産になったり,子どもがあとで学習障害を起こしたりすることがある。人に感染した場合,シストはその筋肉や臓器に潜み,普段は悪さをしない。ところがその人が免疫抑制状態になると,シストが「目覚め」る。エイズの流行が始まった頃には,こうして復活したシストによるトキソプラズマ脳炎が,死因の多くを占めていた。

デイビッド・ウォルトナー=テーブズ 片岡夏実(訳) (2014). 排泄物と文明:フンコロガシから有機農業,香水の発明,パンデミックまで 築地書館 pp.96-97
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