忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

海賊・農夫・交易商・開拓者

しかし,ヴァイキングの物語には,そういう恐ろしい部分と同じくらいロマンチックで,もっと本書との関わりが深い部分もある。ヴァイキングは,恐ろしい海賊であると同時に,農夫,交易商人,植民地開拓者であり,ヨーロッパで初めて北大西洋に乗り出した探検家でもあった。ヴァイキングたちが築いた数々の植民地は,それぞれ大きく異る運命をたどっている。ヨーロッパ大陸とイギリス諸島に入植した者は,最終的に地元の人々に同化し,ロシア,イングランド,フランスなど,いくつかの国民国家の形成に携わった。ヨーロッパ人による初の北米大陸入植の試み,ヴィンランドの植民地は,すぐに遺棄されることになった。グリーンランドの植民地は,最も辺境にあるヨーロッパ社会の領地として450年のあいだ存続したが,最終的には消滅する。アイスランドの植民地は,何世紀にもわたって貧困と政治的な難局に苦しんだのち,近年は世界でも屈指の裕福な社会に生まれ変わった。オークニー諸島,シェトランド諸島,フェロー諸島の植民地は,ほぼなんの問題もなく存続した。これらすべてのヴァイキングの植民地は,同一の社会を祖としている。それぞれの植民地が異なる運命をたどったことと,入植者を取り巻くそれぞれの環境とのあいだには,明らかな相関性が認められる。

ジャレド・ダイアモンド 楡井浩一(訳) (2005). 文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの(上巻) 草思社 pp.283
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]